喉の疾患

~喉の症状の注意点~

喉の痛みの原因は様々ですが、全てに共通して言えることは,
「頑張っても食事が全くとれない」事や
「呼吸が苦しい」事
は緊急度・重症度が高い可能性が高く、入院での点滴加療や場合により切開などの処置が必要になりうる
という事です。
そういった場合は、我慢せずに早めに医療機関に受診する事をお勧めしております。

急性扁桃炎

症状:のどが痛い、発熱、食事が取りづらい


扁桃腺とは、舌の付け根の両側(のどちんこの両脇)にある“こぶ”のような組織で、ウィルスや細菌などから体を守る役割を担っています。
そこに炎症を起こした状態が扁桃炎です。
細菌性の場合、抗生剤での治療が必要になりますが、何かしらの原因で効きが悪かったり、投薬せずに放置してしまったりすると、膿をため込んでしまう(扁桃周囲膿瘍)場合もあります。

伝染性単核球症(EBウィルス感染症)

症状:のどが痛い、発熱、食事が取りづらい、後ろ首にしこりを触れる


EBウイルス等のウイルスによる扁桃炎です。
扁桃腺だけでなく肝臓や脾臓などにダメージが出る場合もあります。
ウィルス感染なので対症療法と安静が治療法となりますが、食事ができない程ののどの痛みがある場合などには入院治療となります。

アデノウィルス感染症(咽頭結膜炎、咽頭結膜熱、プール熱)

症状:のどが痛い、目の充血、発熱


アデノウィルスによる喉や眼の感染症です。
ウィルス感染なので対症療法と安静が治療法となり、治るまでには約1週間程度要します。
感染力が強く非常に伝染しやすいため、症状が治まってから2日経つまで出席停止と学校保健安全法で定められています。

溶連菌感染症

症状:のどが痛い、発熱、食事が取りづらい


のどの痛みを引き起こす炎症の多くはウィルス感染によるもの(いわゆるノド風邪)ですが、細菌感染では溶連菌の可能性の考慮が必要です。
当日結果が分かる検査でチェックが可能で、治療は適切な抗生物質の内服で速やかに改善することがほとんどですが、心臓や腎臓の合併症予防のためにしっかり内服しきることが大事です。

慢性扁桃炎(習慣性扁桃炎)

症状:急性扁桃炎を繰り返す


急性扁桃炎を繰り返してしまうケースです。
うがいなどでの予防が重要となりますが、反復再燃を完全にコントロールする事は難しい場合が多く、生活に支障をきたす度合いに応じて手術(口蓋扁桃摘出術)の適応を検討します。
ただ、扁桃腺を取ってもノド風邪を引かなくなるわけではありません(ノド風邪と扁桃炎は基本的に別物です)し、扁桃摘出で改善が見込めるのはあくまで慢性扁桃炎です。
つまり、のどの痛みの原因が扁桃炎であったのか、他の病気によるものなのかをしっかり診断しておく事が手術適応の判断には大切になります。

扁桃周囲膿瘍

症状:のどが痛い、発熱、食事が取りづらい、口が開けづらい、しゃべりづらい


扁桃腺の周りに膿がたまる程に急性扁桃炎が悪化してしまった状態です。
一部ノドの粘膜を切開するなどして膿の出口を作ってあげたり、抗生物質を使用したりして治療を行っていきます。
しかし、ここから更に悪化していくと、首の中にまで膿のたまりが広がっていったり(頸部膿瘍)、空気の通り道が腫れて呼吸がしにくくなってしまったり(喉頭浮腫)といった危険な状態となりうるため、悪化する前の治療介入が大切になります。
扁桃周囲膿瘍はこういったリスクを持つ病気のため、基本的には入院での治療が安全です。

声帯ポリープ

症状:声が嗄れる・出しづらい


声帯は本来、字のごとく「を出すための左右一対のです」。
綺麗な(正常な)一対の帯は、その間を空気が通ることで繊細に震え、「声」となります。
しかし、その帯にポリープが出来てしまうと、繊細な震えができなくなり声が嗄れてしまいます。
声の酷使や喫煙などが原因となりますので、その逆が治療につながります。
つまり、声の安静や禁煙、場合によって内服や吸入で改善を目指しますが、改善が見られない場合は手術でポリープを取り除くという選択肢もあります。
また、当院では禁煙外来も設置しておりますので、ご興味のある方はコチラをご覧ください。

ポリープ様声帯

症状:声が嗄れる・出しづらい


声帯ポリープと言葉は非常に似ていますが、似て非なる状態です。
声帯ポリープは 「声帯の一部にポリープがある状態」
ポリープ様声帯は「声帯全体がポリープの様にむくんでしまった状態」 です。
酷い場合は呼吸がしづらくなってしまうケースもあります。
治療に関しては、基本声帯ポリープと同様ですが、禁煙が非常に大事な役割を担います。
また、当院では禁煙外来も設置しておりますので、ご興味のある方はコチラをご覧ください。

喉頭腫瘍

症状:声が嗄れる・出しづらい


長い期間タバコを吸っている方(吸われていた方も含む)、声嗄れが長引いている方は注意が必要です。
声を出す声帯やその付近にできものがある事で、症状に繋がっている可能性もあります。
その様な場合は一度耳鼻咽喉科での内視鏡でのチェックを受ける事をお勧めしたおります。
また、当院では禁煙外来も設置しておりますので、ご興味のある方はコチラをご覧ください。

急性喉頭蓋炎

症状:のどが痛い、呼吸が苦しい、声が出しづらい、発熱、食事が取りづらい


口を開けて見えるところよりも下の方に喉頭という場所があります。
その上側に喉頭蓋というまさに「蓋(フタ)」があります。
ここに炎症が起きてしまった状態が喉頭蓋炎で、腫れがひどければ空気や食べ物の通りを悪くしてしまいます。
のどの炎症の中でも緊急性の高い病気になり、入院での治療が必要です。

扁桃肥大・アデノイド肥大

いびき・睡眠時無呼吸症などの引き金となる可能性があります。
詳しくはコチラをご覧ください。

その他

症状:味が変・のどの違和感・口が乾く・口内炎


この様な症状などにも対応しております。
それぞれに応じた診察・検査を行い、対応について検討させて頂きます。
お気軽にご相談ください。

豆知識:風邪(感冒について)

風邪はほとんどの場合ウイルス感染によるものと言われています。
しかし、ウイルスは抗生剤(細菌をやっつける薬)が効かないため、ご自身の免疫力が落ちないようにしっかり休養をとったり、栄養や水分の摂取をしたり、症状に対しての薬でなるべく楽に過ごせる様にしたりしていく事でしか対処ができません。
ただ、長引く風邪の場合に細菌感染が合わさってくる場合もあるため、その際には抗生剤が必要になるケースもあります。
いずれにしても抗生剤の使用は、必要な時にはしっかり、必要ない時には使わないようにしていく事が大事とされています。
以下は参考の情報になりますので、ご興味のある方は是非一度ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=8Dc6klxvn7g&feature=youtu.be
http://amr.ncgm.go.jp/general/